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July 20, 2026

スタジアム運営を任されるAI。セキュリティチームはこれをどう保護すべきか?

その規模と複雑性により、スタジアムはサイバーセキュリティにとって最も過酷な環境の1つとなっています。その運営に今、AIを導入することで私たちは新たな次元のリスクを負おうとしています。 スタジアムをファンにとって安全な場所にするためにセキュリティチームはAIをどのように使うべきかを解説します。
Inside the SOC
Darktrace cyber analysts are world-class experts in threat intelligence, threat hunting and incident response, and provide 24/7 SOC support to thousands of Darktrace customers around the globe. Inside the SOC is exclusively authored by these experts, providing analysis of cyber incidents and threat trends, based on real-world experience in the field.
Written by
Karim Benslimane
VP, Field CISO
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20
Jul 2026

スタジアム運営に使われるAIをどう保護するべきか

主なポイント

  • AIはアクセス管理、群衆管理、チケット発行、設備管理、監視カメラ等、スタジアムの運営に重要な機能に導入されつつある。  
  • シャドーAIやサードパーティAIの利用はスタジアムのセキュリティチームの目の届かないところでリスクを生み出している。
  • セキュリティチームはどのようなAIシステムが存在しているかだけでなく、それらが何にアクセスし、どのようなアクションを実行できるかを理解できなければならない。
  • イベントのレジリエンスにはAI、IT、OT、アイデンティティ、サードパーティ全体に渡る継続的監視と対応が必要。

現代のスタジアムは、他に類を見ないインフラです。以前にも書いたことがありますが、イベント開催日には、スタジアムに生命が吹き込まれ、グッズや食べ物の販売、交通のハブ、広大な通信インフラ、そしてフィールド上のさまざまな技術など、これらが連携した1つの巨大なエコシステムとして機能します。その規模と複雑性により、スタジアムはサイバーセキュリティにとって最も過酷な環境の1つとなっています。その運営に今、AIを導入することで私たちは新たな次元のリスクを負おうとしています。

スタジアム運営にAIを導入することの利点は明らかです。スタジアム運営者はAIを使うことにより、混雑したゲートからファンを安全に誘導し、売店の需要を予測し、生体認証システムを管理し、不審な動きを監視カメラで見つけ、また空調や換気を制御することができます。上手く使えば、イベントをより安全に、迅速に、より効率的にすることができます。

ただし、AIはセキュリティモデルも変化させます。

ダークトレースが最近発表したスポーツを取り巻く脅威状況についての調査では、プロスポーツ組織のサイバーセキュリティプロフェッショナルを対象に、自組織の運用範囲の中でサイバー侵害が最も重大な影響を及ぼすのはどこかという質問をしました。調査対象のプロフェッショナルの最も多い34%が指摘した分野は、スタジアムの運営でした。それと同時に、35%は自組織がすでにスタジアムの運営にAIを使用している、あるいは今後12か月間に導入の予定があると回答しています。

セキュリティチームはもはや、スタジアムを中心とした従来型のITシステムだけを保護しているのではありません。スタジアムの基盤となる重要機能を動かしている、AIシステムの保護も求められるようになっているのです。

承認済みAIとシャドーAIの違い

スタジアムのセキュリティチームが知っているAIと、そうでないAIの間には明確な違いがあります。

承認済みAIとは、審査およびテストされ、施設の運用環境に統合されたAIです。こうしたAIは、監視カメラのアナリティクス、アクセス管理、設備管理、チケット発行、ロジスティクス、放送オペレーション、海賊版対策などに使われているかもしれません。それらのAIには、明確なオーナーシップ、アクセス制御、ログ記録、ベンダーレビュー、データ保護規則などがあるはずです。それによってリスクがなくなるわけではありませんが、セキュリティチームは適切なガバナンスを整備できます。

シャドーAIはそれとは違います。シャドーAIとは、従業員、請負業者、サプライヤーによる承認されていないAIの利用です。多くの場合それは善良な意図で始まります。たとえば、作業をもっと早く進めたいと思う人がいるかもしれません。あるいは、ブリーフィングの原稿を作るためにスタッフが内部情報をパブリックAIにペーストする、開発者がチケット発行プログラムのデバッグのためにAIアシスタントを使用する、サプライヤーがAIスケジューリングツールを配送ルートに接続する、デザイナーがモックアップ作成のために未公開の会場設計図やスポンサーの資料をAIにアップロードするなどの事です。

これらの行動はいずれも、それを行っている人からすればセキュリティ上の判断のようには感じられません。しかし、これらの行為は機密性の高い運営データを、スタジアムが管理していない環境に送出し、隠れたリスクを生みます。

承認済みAIスタックは、セキュリティチームから見えています。シャドーAIスタックは多くの場合そうではありません。

試合開催日に増幅するリスクと影響

通常のエンタープライズ環境であれば、不審なログイン、普段とは異なるデータ転送、予期しないサードパーティサービスへの接続をセキュリティチームが調査するための時間は数時間あるでしょう。スタジアムでは、インシデントが起こる可能性の高い瞬間は、チームに最も余力がなくインシデントが最も大きな影響を及ぼし得るタイミング、つまり試合開催日です。

群衆管理に使われているAIシステムが予期せぬ振る舞いをしたとき、その問題は単に技術上の問題ではありません。それは会場内の物理的な動きに影響を及ぼすかもしれません。

サプライヤーツールが運営データを承認されていないAIプラットフォームに送信すれば、それはデータガバナンスだけの問題ではありません。配送ルートやアクセス制限のスケジュール、スタッフ配備計画などが漏洩するかもしれません。

最も危険なシナリオは必ずしも派手な、劇的な攻撃とは限らず、外部ベンダーがソフトウェア更新でAI機能を追加した、あるいはスタッフのワークフローで未承認のツールが使用されているなど、誰も想定していなかった隠れた依存関係から発生することがあります。

イベントが始まると、これらの隠れたつながりが運営上のリスクになる可能性があります。

サプライチェーンはスタジアムのアタックサーフェス(攻撃対象領域)の一部

すべての大規模スポーツイベントは、さまざまなサプライチェーンとパートナーシップで構築されています。ケータリングサービスや輸送、放送システム、施設管理チームなど、あらゆるピースが必須であり、それぞれがセキュリティチャネルを作り出しています。サプライチェーン侵害のリスクはすでによく知られており私たちが目にしてきたいくつかの有名な侵害事例の原因となっています。マジソン・スクエア・ガーデンを所有するMSG Entertainment社のデータ侵害事例は3月に大きく報道されましたが、これはMSG Entertainment社のバックオフィスシステムで使用されていたOracleのE-Business Suiteから発生していました。また、2018年の平昌冬季オリンピックを標的としたOlympic Destroyer攻撃はこの大会のメインITサービスプロバイダーに対する侵害から始まったと言われています。そして、AIの導入によりこのリスクは増大しつつあります。

スタジアム自体は自社のAIシステムに厳しいルールを設けているかもしれませんが、ベンダーは別のツールを使っている場合があります。スタッフの配備や、配送のタイミング、在庫、顧客とのやり取りの管理にAIを使っている業者もあるでしょう。また、既に使用しているソフトウェアにAI機能が追加されていることに気が付いていないケースもあります。

スタジアムの運営でAIを保護する際の最も難しい問題の1つはこの点です。リスクはスタジアムが選択したツールから来るとは限らないのです。サプライヤーが選択したツールや、有効に設定されていることをサプライヤーが知らなかった機能からリスクが発生する可能性があります。

セキュリティチームは、ベンダーのアクセスを管理するのと同じようにベンダーのAIを扱う必要があります。サプライヤーが何に接続できるか、どのようなデータを見ることができるか、どのようなツールを使っているか、そしてこれらのツールがデータ露出や水平移動(ラテラルムーブメント)の新たな経路を作り出さないかを知る必要があるのです。

サードパーティAIツールがリスクを作り出すのに深いアクセス権は必要ありません。特定の情報が不適切なタイミングで露出するだけでリスクを招きます。

スタジアム運営におけるAIについてセキュリティチームが確認すべき4つの質問

AIがスタジアム運営の一部となるなかで、セキュリティチームは基本的な承認リストの先へ進む必要があります。次の4つの点を問う必要があります:

1. ‍ AIはどこで使われているか?

すぐに思いつくのは、コンピュータービジョン、アクセス管理、チケット発行、ロジスティクス、設備管理等のツールです。しかし、SaaSプラットフォーム、ベンダーツール、ブラウザ拡張、開発者ワークフロー、スマートビルディングシステム、コラボレーションツールにも見えにくい形でAIが含まれています。

2. AIは何にアクセスできるか?

そのAIはインシデントログ、スタジアム設計図、チケット発行データ、ビデオ映像、建物管理、ファン情報、認証情報、サプライヤーシステムを見ることができるでしょうか?それは情報を分析するだけでしょうか、それともアクションを実行することもできるでしょうか?

3. AIは何を実行できるか?

AIエージェントは単なる受動的ツールではありません。APIを呼び出す、記録を更新する、命令を生成する、ワークフローをトリガーする、あるいはユーザーやサービスアカウントの権限を持って行動できるものもあります。スタジアムにおいて、その違いはきわめて重要な意味を持ちます。アクションを提案するAIシステムと、アクションを実行できるAIの間には大きな違いがあります。

4. 何が正常な状態か?

セキュリティアーキテクチャとしては、静的なルールだけでは不十分となるでしょう。AIの使用状況は急激に変化します:既存のプラットフォーム内にAIツールが出現し、ベンダーがAIを使った新しいサービスを追加し、多忙をきわめたスタッフはAIを使った回避策を見つけるかもしれません。セキュリティチームは、何かが変化したときにそれを発見できるよう、人、アイデンティティ、デバイス、ネットワーク、クラウドサービス、サプライヤー、AIツールのすべてにわたって正常な振る舞いを理解している必要があります。

このことは、わずかな異常が重大な意味をもつかもしれない、イベント開催中の環境において特に重要です。未承認のAIサービスへの接続は、ある状況では無害かもしれませんが別の文脈では深刻なものとなる可能性があります。そしてAIエージェントによるアクションの実行は、午前3時にセットアップを行っている状況では予期されたものかもしれませんが、試合開催中にそのアクションが発生した場合、疑わしいものかもしれません。あるアクティビティを意味のあるセキュリティ情報にするのはコンテキストです。また、迅速な対応を可能にするのもコンテキストであると言えます。組織内のAIベースセキュリティシステムが、アクションを実行する必要があることを知るためのリアルタイムのコンテキストを構築できれば、マシンスピードで脅威に対応できます。

AIはスタジアムの安全に貢献できる、ただしAIが安全であることが条件

AIにはスタジアム運営に貢献できる役割があります。観客の混雑をより早期に検知し、ボトルネックを解消し、施設をより効率的に管理し、ファン体験を向上させ、プレッシャーのかかる状況下でイベント運営チームをサポートすることができます。

問題への答えはすべてのAIの導入のペースを落とすことではありません。それが解決策ではありません。答えは、AIを可視化し、管理し、試合日の運営の一部となる前に安全にすることです。

スタジアムの運営チームやイベント主催者にとって、これはAIの使用を会場とサプライヤーエコシステム全体にわたってマッピングすることを意味します。また、各AIシステムが何にアクセスでき、どのようなアクションを実行できるかを理解することです。スタッフの判断で回避策を探すのに任せるのではなく、彼らのニーズを満たす承認済みのツールを提供することも重要です。ベンダーとの契約や監査にAIの利用について明記することも必要です。さらに、わかりやすい主なシステムだけではなく、環境全体で動作を監視することも大事です。スタジアムから見えないものを安全にすることはできません。

AIが、スタジアム内の人の移動、アクセスの制御、設備の管理、サプライヤーのサポート、メディアの権利保護の一部となるとき、それはもはや追加機能ではなく、イベントインフラの一部となるのです。

イベントインフラは、スタジアムのゲートが開く前に入念に準備され、安全でシームレスかつ信頼性の高いイベント体験を実現するのに必要な、オペレーショナルレジリエンスによって維持されなければなりません。

Darktraceはスタジアム運営のためのAIをどう保護できるか

ダークトレースは、10年以上にわたり構築してきたビヘイビアAIの専門技術を、複雑で曖昧な環境で機能するように設計された、組織全体をカバーするプラットフォームで提供しています。2022 FIFAワールドカップカタール大会からF1グランプリまで、Darktraceは世界のさまざまな会場や米国中のスタジアムにおいて運営を支える統合された大規模なITおよびOT環境を保護しています。

他のサイバーセキュリティ技術は、過去の攻撃に基づいて新しい攻撃を予測しようとします。しかし問題は、AIが人間のように動作することです。あらゆるアクションが新たな情報をもたらし、それによってAIの動作は変化するため、予測不可能です。過去に見られた攻撃の戦術はもはや方程式の小さな部分に過ぎません。その結果多くのベンダーは実証されていない技術を買収し、改修することによりAIの保護を行おうとしています。  

ダークトレースのアプローチは他とは根本的に異なります。ダークトレースの適応型AIは、人とAIの振る舞いを学習し続けることにより組織についての理解を構築するため、動作の逸脱が起こった時にそれを検知し自律的に対応することが可能です。ダークトレースの提供するビヘイビアベースの防御プラットフォームは、新たなワークフロー、エージェント、アプリケーションの導入に対応して組織内のAI、人、インフラを保護することにより、大規模なAI変革を可能にします。

AIによって変化する組織の潜在力。Darktraceは組織が自信を持って前へ進むのに役立ちます。ダークトレースはスタジアムインフラ内の人とテクノロジーを保護するセキュリティチームに対し、新たなテクノロジーの導入を保護するのに必要な理解、可視性、自律的アクションを提供し、AI時代を構築するための変革を後押しします。

[related-resource]

グローバルスポーツのサイバーセキュリティ

スポーツセクターを対象としてダークトレースが実施した調査に基づく本レポートでは、オリンピック等の世界的イベントで事例とともにますますデジタル化が進んでいるスポーツ産業が直面する脅威、シグナル、その戦略的影響を解説します。

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Karim Benslimane
VP, Field CISO

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October 26, 2026

PHP脆弱性、ARTEX、そしてサイバー攻撃におけるAIの役割拡大

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BCVE-2026-109618およびCVE-2026-109619の公開により、PHPを運用している組織は緊急対応を余儀なくされました。どちらの脆弱性も許可のないリモートコード実行を可能にするものであり、対象はPHPが組み込まれ、サードパーティベンダーにアップデートを依存する製品およびアプライアンスも含まれていました[1]。

初期のガイダンスではインターネットに接続されたシステムにパッチを適用し、予期しないコマンド実行やWebroot変更、PHPサーバーからのアウトバウンド接続など、エクスプロイトの成功に関連した振る舞いを監視することに重点が置かれました。

Darktraceは監視中の環境においてスキャニングが広範に発生していることを観測し、これにはPHP脆弱性を標的としたアクティビティに関連すると報告されている数百の個別のIPアドレスが関係していました。スキャニングの量はエクスプロイトの成功を示す証拠の数を著しく上回るものでした。アナリストにとってはこの違いが重要です。スキャニングは露出したインフラへの関心を表すものです。侵害を確認するには、標的とされたシステム上でこれに続く振る舞い、たとえばコマンド実行、ファイル変更、予期しないアウトバウンド接続などの証拠が必要です。

PHPは例外的なケースではありません。その後、Imperva社が脆弱なNode.jsビルドに対するリモートコード実行を悪意あるBrotliデータを通じて実証し、圧縮HTTPレスポンスおよび設定済みリクエストパーサーを通じたコード実行を再現しました。同じ入力はパッチ適用済みのランタイムからは拒否されました。Imperva社はNode2ShellおよびPHP2Shellに対する研究結果を、脆弱性探索とエクスプロイト開発スピードの上昇と結びつけています。[2]

DarktraceはCVE-2026-109618あるいはCVE-2026-109619エクスプロイトの直接的証拠を観測していませんが、10月21日にゼロデイエクスプロイトのアクティビティと一致する過去6か月間で最大の脅威検知を観測し、これは過去のデータと比較して64%上昇を示すものでした。この上昇とPHP脆弱性との関連性は確認されていません。Darktraceの振る舞いベースのアプローチは、特定のエクスプロイトに対して記述されたルールだけに頼ることなく異常なアクティビティを検知するよう設計されています。同様の検知の増加はLog4j脆弱性の公表、およびその他の世界的に重大な脆弱性公表時にも観測されています。

AI支援による脆弱性探索

AIシステムが高い脆弱性探索能力を持つようになるなかで、PHPの脆弱性が発見されました[3]。OpenAIは2026年6月にDaybreakプログラムを発表し、GPT-5.5-CyberおよびCodex Securityをセキュリティ研究者やソフトウェア維持管理者とのパートナーシップと結びつけました。OpenAIはこれらのモデルがブラウザ、ネットワークインフラ、FreeBSDおよびLinuxカーネルの脆弱性の発見およびパッチ作成に適用されていると説明しています。ダークトレースは6月にOpenAI Daybreak Cyber Partner Programに参加し、OpenAIの提供するサイバー能力をDarktrace製品およびサービスにどのように統合できるかを研究しています [4][10]。

OpenAIは8月に、Codex Security Cloudが30,000以上のコードベースにおいて3000万件以上のコミットを分析したと報告しています。OpenAIによると、Cloudflare社はDaybreakを通じてアクセスするモデルを利用して、顧客の承認を受けたコードを調査し、その調査結果をリアルタイムのトラフィックやセキュリティシグナルと組み合わせて、影響を受けたルートがアクティブかどうか、または不審なトラフィックを受信しているかを評価し、顧客によるレビュー対象として緩和策やパッチを提案しているということです[5][6]。

迅速に発見することができても、影響を受けたソフトウェアを特定し、修正をテストし、是正措置を完了するという作業は、依然として防御者が行わなければなりません。PHPの事例は、特に脆弱なランタイムが他の製品に組み込まれている場合に、このギャップが問題となることを明確に示しています。

アタックサーフェスとしての企業AIエージェント

DarktraceSignal Labsは、攻撃者がすでに環境へのアクセス権を取得した後、信頼されたAIエージェントがどのように悪用される可能性があるかについても調査しました。ダークトレースの研究者は管理されたシミュレーション環境において、侵害後のシナリオとして、Claudeプラットフォームのメモリストア機能が悪用され、外部オペレーターと内部のClaude Codeエージェント間にライブC2チャネルを確立できることを実証しました。外部オペレーターは、このC2チャネルを介して、ネットワーク探索、認証情報へのアクセス、データの持ち出しといったタスクをエージェントに動的に割り当てることができました。エージェントのアクティビティの検知は、エージェントハーネスプロセスからのプロセス作成とネットワークトラフィックの相関付け、および予期された動作からの逸脱を特定するためのビヘイビア分析に基づいて行われました。ダークトレースはこのメモリストアを使ったC2テクニックを実際の攻撃で観測したとは主張していません[7]。

日本で観測されたAI支援による攻撃

日本で観測された証拠は、研究用環境を超えて、実際の脆弱性探索と攻撃にAIが使用されていることを示しています。10月21日、JPCERT/CCは最近の日本国内の組織に対する不正アクセスインシデントについての調査結果を発表しました。JPCERT/CCは攻撃者がAIを使って既知の脆弱性をスキャンしAPIを通じて攻撃を実行していることを確認したと報告しています。JPCERT/CCによると、攻撃インフラを調査した結果、Androidアプリケーションの分析、APIの探索、サーバーサイドリクエストフォージェリを含む脆弱性テストの痕跡が確認され、また、この攻撃インフラは日本国外のユーザー向けサービスも標的としていました[8]。

JPCERT/CCはこの公開資料の中ではARTEXを特定していません。ARTEXに対するアトリビューションは、Microsoft社によるStorm-0940の分析を含む、別の調査に基づいています。

攻撃オペレーションにおけるAI

Microsoft社は、ARTEXを限定的な人間の介入でアクティビティを自動化できる、オープンソースのマルチエージェント型ペネトレーションテストシステムと説明しています。Microsoft社は、2021年から活動している中国政府と連携した攻撃者と評価しているStorm-0940が、数百の組織に対してARTEXを使用したと報告し、ConnectWiseのサプライチェーン侵害がStorm-0940によるものであるとしました[9]。

Microsoft社は、ARTEXがスキャン、偵察、パスワードスプレー、OAuthアプリケーションの悪用を加速させていることを確認しました。ARTEXに駆動されたいくつかの攻撃オペレーションは、最初の標的設定から3時間未満で特権クラウドアクセスに到達しました。ConnectWiseの侵害後、Storm-0940は最大で毎分2,900回の頻度で、2,250を超えるテナントへの認証を試みました[9]。

ダークトレースの脅威調査チームは、後にこのキャンペーンとの関連が判明したインフラに関するアクティビティを、Darktraceテレメトリー内で発見しました。10月13日、Darktraceは、Microsoftが後にConnectWiseの顧客環境でサインインおよびMicrosoft Graphのアクティビティを実行していたと特定したアドレスの1つである144.172.64[.]128に関連する認証アクティビティの失敗を記録しました。Darktraceの分析では、約20分間に65回の認証失敗が確認されました。

図1:2026年10月13日、144.172.64[.]128が関与した認証失敗イベントを示すDarktrace Advanced Searchの結果(顧客を特定できる情報は削除済み)。

Darktraceのテレメトリーは、後にこのキャンペーンとの関連が確認されたインフラから、認証の失敗が繰り返し発生していたことを明らかにしています。これはARTEXの実行や侵害の成功を立証するものではありません。観測時点では、Microsoft社による後のアトリビューションについての情報はありませんでした。つまり、アナリストが把握していたのは振る舞いそのものでした。短時間に同一の送信元から認証に繰り返し失敗したということ、および関連するアイデンティティ、アプリケーション、ネットワークティビティについてのデータです。

Microsoft社は、10月10日から14日にかけて、8組織の327アカウントを対象とした、より広範なパスワードスプレー攻撃を報告しました。151,000件を超えるログオン失敗が記録され、なかでも11月10日には111,000件を超えていましたが、このキャンペーンによる認証成功、トークン発行、Graph呼び出し、ディレクトリ変更はいずれもありませんでした。また、Microsoftは、Storm-0940による標的化の大半が成功しなかったとも報告しています[9]。

攻撃者が認証を突破したケースでは、Microsoft社はサービスプリンシパルによるサインインに続いて、Graphおよびディレクトリ操作が行われたことを確認しました。アクティビティには、偵察、アプリケーション認証情報の変更、権限の変更を試みる行為が含まれていました。Microsoft社はサービスプリンシパルによるサインインとGraphアクティビティ、ディレクトリ変更およびリソースアクセスを相関づけることを推奨しています[9]。

アトリビューションの前に振る舞い

PHPとARTEXの事例は、異なる情報から始まっています。PHPの防御担当者は、どのソフトウェアに緊急の対策が必要かを把握していたものの、当初はエクスプロイトついての情報が限られていました。それでも、プロセスの実行、ファイルの変更、外部への通信は、侵害の証拠となったでしょう。

PHPとARTEXの観測結果は、量と影響範囲の違いも示しています。DarktraceはPHPの脆弱性公開時期に広範なスキャンを観測しました。一方ARTEX関連のインフラでは認証アクティビティが集中して発生していました。どちらの観察結果も、それ単独では侵害を実証するものではなく、いずれのケースにおいても、最初のやり取りに続く振る舞いを調べることが調査上の手がかりとなります。

DarktraceのARTEX関連の検知は、認証関連の振る舞いから始まりました。Microsoft社が攻撃インフラのアトリビューションを公表したのはその8日後でした。アトリビューションはコンテキストを提供するものではありましたが、環境内で最初に記録された事象を変更するものではありませんでした。

AIは今や攻撃サイクルの複数のポイントに存在しています。Daybreakは脆弱性の発見と修正にモデルを適用しています。Darktrace Signal Labsは信頼される企業内AIエージェントがどのように悪用されうるかを、管理された環境内で実証しました。JPCERT/CCは最近のインシデントにおけるAI支援による脆弱性探索およびAPI攻撃を確認しました。Microsoft社は実際の攻撃でStorm-0940がARTEXを使用していることを報告しました [4][7][8][9]。

Microsoft社の研究結果はまた、攻撃の規模と影響は別に評価しなければならないことも示しています。ARTEXを使った1つのキャンペーンは151,000回以上のログオン失敗を生成し、アクセスに至らなかったものの、他のキャンペーンでは3時間未満で特権クラウドアクセスに到達した例もありました。セキュリティチームは大量の試行アクティビティと、認証を突破し権限の変更やリソースアクセスへと進むものを区別しなければなりません。

これらのケースを評価するのに必要な証拠は、これまでに良く知られているものです。つまり認証記録、プロセス実行、アプリケーションやディレクトリの変更、ファイルアクティビティやネットワーク通信です。AIはこれらの振る舞いの発生頻度を増大させます。防御者はこのような状況下でもそれらのシーケンスと影響を判断しなければならないのです。

担当:Emma Foulger、Sam Lister、Dylan Evans、Moishe Tajtelbaum

参考資料

[1] NCSC-NL, php2shell vulnerabilities (CVE-2026-109618, CVE-2026-109619), 21 October 2026. https://github.com/NCSC-NL/php2shell

[2] Imperva, https://www.imperva.com/blog/node2shell-from-brotli-data-to-remote-code-execution/

[3] Cyber Security Agency of Singapore, https://www.csa.gov.sg/alerts-and-advisories/alerts/al-2026-151/

[4] OpenAI, Daybreak: Tools for securing every organization in the world, 22 June 2026. https://openai.com/index/daybreak-securing-the-world/

[5] OpenAI Developers, Scaling cyber defenders with Daybreak, 21 August 2026. https://developers.openai.com/blog/scaling-cyber-defenders-with-daybreak

[6] OpenAI, Cloudflare links vulnerability discovery to defense with OpenAI, 21 October 2026. https://openai.com/index/cloudflare-cyber/

[7] Darktrace Signal Labs, Shared Memories as a Covert C2 Channel, draft research supplied for review.

[8] JPCERT/CC, Recent AI-Assisted Cyber Attacks in Japan: Investigating Attack Infrastructure and Techniques, 21 October 2026. https://blogs.jpcert.or.jp/en/2026/10/web_api_attacks.html

[9] Microsoft Security Research and Microsoft Threat Intelligence, AI-driven, large-scale nation-state campaign using ARTEX enables supply chain compromise, 21 October 2026. https://www.microsoft.com/en-us/security/blog/2026/10/21/storm-0940-uses-artex-agentic-ai-connectwise-supply-chain-compromise/

[10] Darktrace, Advancing the Use of Frontier AI in Cybersecurity: Darktrace Joins the OpenAI Daybreak Cyber Partner Program to Explore Defensive AI Integrations, 22 June 2026. https://www.darktrace.com/blog/advancing-the-use-of-frontier-ai-in-cybersecurity-darktrace-joins-the-openai-daybreak-cyber-partner-program-to-explore-defensive-ai-integrations

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Nathaniel Jones
SVP, Global Threat Intelligence

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October 23, 2026

Beyond the Fridge: Exposed Industrial Control Systems

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Introduction

In October 2026, hundreds of supermarkets across France were reportedly affected by a cyberattack targeting their refrigeration systems. According to public reports, the attackers gained access to internet-connected controllers and modified their settings, forcing refrigeration units into high and extremely low temperatures and causing significant disruption. Total losses have been reported to reach several million euros.

The incident drew attention to the security of industrial refrigeration systems, particularly older devices with exposed management interfaces and known vulnerabilities.

The exact details of how the attackers gained access have not been confirmed, however it is speculated that the public-facing web server could be accessed with the username “admin” and password being the current date. Researchers from Claroty’s Team82 identified a vulnerability in Danfoss AK-SM 8xxA Series in 2025, “CVE-2025-41450", allowing for administrative access using a time-based “code-of-the-day" for authentication [1].

Default credentials, outdated firmware and publicly accessible administrative interfaces have been an issue for years. And yet these systems continue to appear in internet scans and require little sophistication to gain admin access. A simple search of internet-connected devices shows a range of exposed devices from Programmable Logic Controllers (PLCs) and remote gateways, to, yes, more fridges.

Darktrace malware researchers identified hundreds of IoT and OT devices publicly exposed on the internet, many of which are configured with no authentication, weak credentials, or default credentials. As shown in Figure 1, an exposed Copeland XWEB web interface, used to manage Dixell equipment, including refrigerators, can provide the ability to remotely control connected devices.

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Figure 1: Copeland XWEB interface used to control systems including refrigerators and air conditioning.

However, it’s not only fridges; web management interfaces for industrial controls are also publicly accessible, often protected only by weak credentials. Figure 2 shows an example of a publicly exposed WAGO interface. The WAGO management interface is a configuration and administration panel for controllers. Through it, a logged-in user can view device details and diagnostics, manage user accounts and passwords, update firmware, back up or restore the full configuration, set the clock, and manage SD card storage. While it typically doesn’t manage switch outputs or read live process values, someone with access could still disrupt operation by changing network or Modbus settings, loading bad firmware or configurations, or by resetting passwords and enabling insecure services.

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Figure 2: WAGO Management interface.

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The issue extends beyond management interfaces. During our research, we identified publicly accessible web interfaces belonging to PLCs, including Rockwell Automation Allen-Bradley devices. In each case, the risk arises from how the devices have been deployed and configured, not from a flaw in the vendors’ products.

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Figure 3: Web interface for Allen-Bradley CompactLogix controller.

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Figure 3 shows the web interface of an Allen-Bradley CompactLogix controller. Unlike the previous examples, this interface provides a view into the controller's operation, including running tasks, network connections, memory usage and diagnostic information. Rockwell Automation's CompactLogix controllers are commonly used to automate industrial processes, from manufacturing and packaging lines to water treatment and material handling systems. Depending on their configuration, these controllers can operate motors, pumps, valves and other physical equipment.

Although in this example the interface shown does not provide direct control over the PLC's logic, it exposes information about the model, firmware, network layout, and connections, which is useful reconnaissance for a bigger attack.

The concern is not necessarily that every exposed interface allows an attacker to immediately manipulate industrial processes. However, these devices are accessible from the public internet in the first place, providing information about systems that may be responsible for controlling physical equipment.

The attacks on refrigeration systems in France highlight the consequences of poorly secured industrial devices. As demonstrated throughout this research, publicly accessible management interfaces are not limited to refrigeration controllers but extend to PLCs and other systems used to manage industrial equipment.

Finding these devices requires little effort. Internet scanners make it possible to identify publicly exposed interfaces quickly, and in some cases these interfaces rely on publicly documented default credentials or have no authentication at all. As attackers increasingly use AI tools, such attacks may be identified and carried out faster and at a greater scale.

The consequences of this access depend on the device and the functionality exposed. While some interfaces provide little more than diagnostic information, others allow users to modify configurations, disrupt communications, or change settings that affect physical equipment. In industrial environments, this can result in operational downtime, damaged equipment and financial losses.

Weak passwords, default credentials and exposed administrative interfaces are not new security issues. Yet their continued presence on internet-connected industrial systems demonstrates how easily preventable weaknesses can leave physical operations vulnerable to attack.

Exposed devices often come from third-party suppliers and contractors, who frequently install refrigeration controllers, gateways and PLCs without the organization ever being aware they are connected to the internet. Asset visibility remains an important foundation, but organizations should assume that some unknown assets and services will exist. Effective security therefore also depends on continuous monitoring, anomaly detection, network segmentation and rapid response, so that risky exposure and unusual activity can be identified and addressed before it becomes disruptive.

Darktrace helps security teams gain visibility across IT and OT and respond to risks: https://www.darktrace.com/products/operational-technology.

Copeland, Dixell, WAGO, Rockwell Automation, Allen-Bradley and CompactLogix are trademarks of their respective owners. Their use here is for identification only and does not imply any affiliation with or endorsement by those owners.

References

1.        https://claroty.com/team82/research/freeze-the-controller-defrost-the-food-uncovering-vulnerabilities-in-danfoss-refrigeration-controllers

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About the author
Tara Gould
Malware Research Lead
あなたのデータ × DarktraceのAI
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